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第8回 健保連賞

 健保連賞 『身体の元旦』

  眞田 正和さん(埼玉県)

40才を迎えることになったあの年、憂鬱な気分が私の中に潜んでいました。
私の職場では、この年齢を迎えるときから健康診断にいわゆる「バリウム」を飲んで行う胃検診が加わります。
周囲の先輩方から様々な噂を聞いているだけに、未知の体験への恐怖心は計り知れませんでした。
実際、検診の車で体を回転させられている先輩がカーテンの陰から見えた時、こんなの絶対に受けたくないという気持ちになっていたのです。
それでも時は巡り、ついに逃れられない運命の年がやって来てしまいました。
そんな気持ちをつい職場で漏らした時、それを聞いた後輩が

「人間ドックを受けてみたらいかがですか」

と声を掛けてきたのです。
これまで大きな病気をしたことがなく、ほとんど病院にかかったことがない私には考えたことのない選択肢でした。

「職場で検診受けるよりも気楽でいいですよ」

その後輩の言葉を聞いて少しだけ人間ドックにしようかなという気持ちになりました。
当時、人間ドックを受診する際の自己負担の補助が抽選だったので、とりあえず応募してみようという軽い気持ちで申請しました。
それからしばらくして当選の通知が届いたので、縁があると思い人間ドックを受けてみることにしました。
施設に詳しくないので、先輩に薦めてもらった医療機関で受診することに決めて、いよいよ受診当日、人生初の人間ドックへの扉が開かれました。

朝早くから、想像より多くの人が受診の受付に来ていました。
男性がほとんどかと思っていましたが女性も多くおり、ロビーの雰囲気も明るいものでした。
私の受付の番が来て体調を聞かれたので少し悩みました。
体調が悪いといえば胃検診を検査対象から除外できるからです。
でも、せっかく来たのだから人間ドックを全て経験してみようと胃検診も受診することにしました。

検査が始まり、ほとんどの検査項目は何のストレスもなく終了し、後は胃検診を含む数項目のみです。そして胃検診の順番がやってきました。
発泡剤を飲んだ後にげっぷをしてはいけないとか、バリウムを飲みなおすことがあるなど、これまで色々な話を聞いていたので戦々恐々としていましたが、医者が上手なのか、私の体質なのか、心配していた事態は全く起こることなく胃検診はあっさり終了しました。
その後すべての項目を終えて、食べていなかったごはんを病院のレストランでおいしくいただきました。
味に関しては期待していなかったのですが、料理がおいしく印象に残る味で、解放感を感じながら至福の時間を過ごせました。

人生初の人間ドックが好印象だったことで、翌年以降、抽選に落ちるまでは毎年人間ドックを受けようと決めました。
数年前から抽選ではなく希望制になったこともあり、結局毎年人間ドックを受診しています。
最近は余裕が出てきたので、健康飲料を飲み続けてその効果を確かめてみたり、自分に合ったダイエット方法を生活習慣から探してみたりするなど、年間を通じて様々なことに取り組んで次の人間ドックでその効果を確かめています。
健康であるからこそできることですが、人間ドックは毎年受診することで、病気を見つける以外にも利用できるということがわかりました。

また、私は毎年10月中旬に受診しているのですが、受診の当日は過去1年間の身体の様子や身体のために取り組んだこと、体型維持の努力などを思い返し、自分の生活を見つめ直す「身体の元旦」の日にしています。
特に受診当日の朝、ゆっくりと時間の流れるロビーで、気持ちをリラックスさせて1年間過ごしてきた自分を褒めて、自分の家族や友人、職場の同僚に感謝するとともに、この先1年の身体の過ごし方を考えています。

人間ドックが終わり病院のレストランでいただくご褒美ランチを食べたら、また1年間のスタートです。
ちなみに今年の目標は、食事制限なしのダイエットです。
様々な方法を試しながらまた1年間自分の健康を維持して楽しく生活していこうと思います。

気がつけば、もう5年以上も人間ドックに通っています。
自分ではあまり意識していないつもりでしたが、自分のデータが蓄積されていることもあり、身体に関する数値を見ながら、健康を維持するためにどのように過ごせばよいかを考えるようになっていました。
最初は胃検診を皆の前で受けたくないだけで行くことにした人間ドックでしたが、いつのまにか健康を意識するようになり、今では自分の年間行事にしっかりと組み込まれています。
病気をしない人はどうしても自分の身体に無頓着になり健康を軽視しがちですが、本当はそのような人にこそ生活を見直す機会として人間ドックが必要なのかもしれません。 

単純な動機でしたが、今ではあの時人間ドックを受診してよかったと思っています。
今後も自分の健康維持を考えるための手段として人間ドックを受診していこうと思います。