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上部消化管内視鏡検査でわかること

■ 食道
異所性胃粘膜
(いしょせいいねんまく)
食道粘膜の一部に胃粘膜がみられることがあります。多くは先天的なもので、数%の人に認められ、頸部食道(食道入口すぐのところ)にみられることがほとんどです。内視鏡では正常食道粘膜が類円形に剥がれたように見えます。多くの場合、胃粘膜の働きはしていませんので、治療や経過観察は不要と考えられています。
カンジダ性食道炎 食道感染症の中で最も多いもので、真菌(カビ)の一種であるカンジダが食道粘膜に侵入した状態です。免疫力低下、過剰な糖摂取などが原因となります。気管支喘息治療で吸入薬を使用している場合に認められることがあります。経過観察が必要です。
逆流性食道炎
(ぎゃくりゅうせいしょくどうえん)
胃内容物(多くは胃酸)の逆流により、食道胃接合部や食道下部にびらんなどの粘膜傷害が認められます。ピロリ菌に感染していない人では胃酸分泌が保持されますので、ピロリ菌未感染者での発生頻度が高くなっています。また、食道裂孔ヘルニアなどにより一過性に下部食道括約筋圧が低下することも大きな要因と考えられています。主な症状は胸やけや呑酸ですが、喉の違和感などが出現することもあります。治療としては、プロトンポンプ阻害薬などの酸分泌抑制薬が非常に有効です。
グライコジェニック・アカントーシス
 
内視鏡で食道粘膜に白色調の粒状物を認めることが少なからずあります。グリコーゲンに富んだ顆粒であり、ヨード染色すると濃く染まります。腫瘍ではなく、放置してもよい所見です。
孤立性静脈拡張
(こりつせいじょうみゃくかくちょう)
食道上部や中部にみられる孤立性の白青調半球状隆起で、限局性に拡張した粘膜下静脈や食道腺の貯留嚢胞と考えられています。食道静脈瘤とは全く別物であり、治療が必要になることは稀です。
食道アカラシア 食道胃接合部が緩(ゆる)まない、あるいは強く収縮したままになって食べたものが胃に流れ込みにくくなり、食道内に貯留してしまうまれな疾患です。嚥下困難、嚥下時痛、嘔吐などを引き起こします。原因は食道壁内にある神経の変性や消失と考えられています。経過観察または精密検査が必要です。
食道異形成(dysplasia)
(しょくどういけいせい)
組織学的に明らかな悪性は指摘できないものの、前がん状態、すなわち、悪性へも進展する可能性のある病変と考えられます。リスク因子は食道癌と同様であり、内視鏡による定期検査が必要です。
食道潰瘍
(しょくどうかいよう)
逆流性食道炎における食道粘膜の傷害が強くなり、潰瘍形成を認めることがあります。また、内服した薬剤が食道に停滞したり、強酸や強アルカリの腐食性薬剤を誤飲することにより発生する場合もあります。酸分泌抑制薬などの治療が必要です。
食道顆粒細胞腫
(しょくどうかりゅうさいぼうしゅ)
大臼歯のような形をした、まれな粘膜下腫瘍です。良性悪性の境界領域病変とされていますので、精密検査が必要な場合があります。
食道憩室
(しょくどうけいしつ)
食道壁の一部がポケット状に外側へと膨らんだものです。胃X線検査や内視鏡検査で偶然見つかることがほとんどで、多くが無症状であり、放置してもよい所見です。
食道血管腫
(しょくどうけっかんしゅ)
食道の壁内に発生した粘膜下腫瘍の一種で、良性腫瘍です。人間ドックなど健康診断として行われる内視鏡で時に偶然に発見されることがあります。多くは無症状で経過し、治療の対象となるものは少ないと考えられます。ただし、大きくなると、つかえ感など通過障害の症状が出現することもあり、経過観察や精密検査が必要になることがあります。
食道脂肪腫
(しょくどうしぼうしゅ)
食道の壁内に発生した粘膜下腫瘍の一種で、良性腫瘍です。人間ドックなど健康診断として行われる内視鏡で時に偶然に発見されることがあります。多くは無症状で経過し、治療の対象となるものは少ないと考えられます。ただし、大きくなると、つかえ感など通過障害の症状が出現することもあり、経過観察や精密検査が必要になることがあります。
食道静脈瘤
(しょくどうじょうみゃくりゅう)
食道粘膜の静脈がこぶのように膨れ、でこぼこになった状態で、多くは食道胃接合部から口側に向けて進展します。その原因の大部分は肝硬変症による門脈圧亢進症です。食道静脈瘤により食物の通過障害を来たすことは稀ですが、進行すると破裂して大出血を来たすことがあります。治療法としては、内視鏡を用いた硬化療法・静脈瘤結紮術や経皮経肝的塞栓術、経皮的肝内門脈静脈短絡術、外科手術などがあります。
食道乳頭腫
(しょくどうにゅうとうしゅ)
通常食道内腔は扁平上皮という粘膜に被われていますが、この扁平上皮が増殖・隆起してできたポリープが乳頭腫です。中下部食道に多くみられる良性腫瘍です。放置してもよい所見です。
食道平滑筋腫
(しょくどうへいかつきんしゅ)
食道の壁内に発生した粘膜下腫瘍の一種で、良性腫瘍です。人間ドックなど健康診断として行われる内視鏡で時に偶然に発見されることがあります。多くは無症状で経過し、治療の対象となるものは少ないと考えられます。ただし、大きくなると、つかえ感など通過障害の症状が出現することもあり、経過観察や精密検査が必要になることがあります。
食道メラノーシス 食道の基底層にあるメラニン顆粒が著しく増殖することで、食道粘膜が黒色調を呈するようになった箇所を食道メラノーシスといいます。まれに、悪性黒色腫が合併することがあり、経過観察または精密検査が必要です。
食道リンパ管腫
(しょくどうりんぱかんしゅ)
食道の壁内に発生した粘膜下腫瘍の一種で、良性腫瘍です。人間ドックなど健康診断として行われる内視鏡で時に偶然に発見されることがあります。多くは無症状で経過し、治療の対象となるものは少ないと考えられます。ただし、大きくなると、つかえ感など通過障害の症状が出現することもあり、経過観察や精密検査が必要になることがあります。
食道裂孔ヘルニア
(しょくどうれっこう)
横隔膜には食道が通るための穴があり、これを食道裂孔といいます。胃の一部がこの裂孔から胸部へと脱出してしまった状態が食道裂孔ヘルニアです。原因としては加齢や肥満、背中が曲がった方などがあります。ヘルニアが起こると横隔膜による締め付けが弱くなり、胃の内容物が逆流して逆流性食道炎を起こしやすくなります。ほとんどの場合、放置してもよい所見です。
食物残渣あり(観察不能)
(しょくもつざんさ)
食物残渣があり、観察が不十分な場合には、日を改めて再検査を行うなど、術者の判断に従って下さい。
進行食道癌
(しんこうしょくどうがん)
食道内面を被っている粘膜から発生する悪性腫瘍(癌)です。進行すると筋層まで侵し、さらに、食道外へ進展することもあります。また、食道周囲のリンパ節に転移することもあります。代表的な症状は食べ物のつかえた感じです。組織学的には、扁平上皮がんが90%以上を占めています。治療法としては外科切除、および、化学療法を併用した放射線治療が行われます。
スコープ挿入不能 様々な原因で、内視鏡が挿入できない場合があります。術者の判断に従って下さい。
早期食道癌
(そうきしょくどうがん)
食道内面を被っている粘膜から発生する初期の悪性腫瘍(癌)です。組織学的には扁平上皮がんが90%以上を占めますが、今後はバレット腺がんが増加することが懸念されています。 早期がんでは多くの人が無症状であり、人間ドックなどの健康診断の内視鏡で発見されることも少なくありません。内視鏡診断にはヨード染色が有用ですが、最近ではNBI(狭帯域光観察)などの特殊光を用いた観察により、より小さな病変も見つかるようになっています。男性は女性の5倍以上発生リスクが高く、喫煙と飲酒は発生リスクを高めると言われています。治療法としては、内視鏡切除(ごく早期の場合)や外科治療があります。
その他の悪性腫瘍
 
食道癌以外の悪性腫瘍としては、平滑筋肉腫、悪性黒色腫、悪性リンパ腫、横紋筋肉腫などがありますが、いずれも発生頻度は低いものです。症状としては、腫瘍の増大で食物の通過障害を来たせば、食道がんと同様につかえ感が出現します。
その他の粘膜下腫瘍
(ねんまくかしゅよう)
その他の粘膜下腫瘍も、ほとんどが無症状であり、内視鏡検査で偶然に発見されます。経過観察でよいものがほとんどです。
その他の良性ポリープ
 
食道で最も多いポリープが乳頭腫であり、それ以外には過形成性ポリープ、炎症性ポリープなどがあります。
バレット食道 下部食道の扁平上皮が胃粘膜に近い円柱上皮に置き換わった状態をバレット食道といいます。前述の逆流性食道炎が主な原因とされています。欧米では食道腺癌(バレット腺癌)の前癌状態と考えられています。軽度の場合は放置しても差し支えありませんが、経過観察が必要になることもあります。
壁外性圧排所見
(へきがいせいあっぱいしょけん)
食道の外側にある臓器や病変に押され、食道壁が内側に突出した状態です。大動脈瘤・縦隔腫瘍・リンパ節腫大などによる圧排が疑われる場合は精密検査が必要となります。

 

■ 胃
胃悪性リンパ腫
(いあくせいりんぱしゅ)
悪性リンパ腫はリンパ系の組織(ヒトの免疫システムを構成するもので、リンパ節、胸腺、脾臓、扁桃腺などの組織や臓器、リンパ管、リンパ液)から発生する腫瘍です。消化管悪性リンパ腫は胃原発のものが約 60~80% と最も多く、MALT リンパ腫、びまん性大細胞 B 細胞性リンパ腫、濾胞性リンパ腫,マントル細胞リンパ腫、成人 T 細胞白血病リンパ腫などに分類されます。精密検査,治療が必要です。
胃アニサキス症 アニサキスという寄生虫により、イカ、サバなどの摂取後に急激な心窩部痛で発症します。体部から穹?部(胃の入口付近)に多く認めアニサキス虫体が粘膜に刺入して、同部位は浮腫、発赤、びらんを形成し、時に浮腫が広範になると腫瘤様を呈したり、管腔の狭小化を伴うこともあります。アニサキスを摘出する治療が必要です。
ESD後の瘢痕 早期胃癌や胃腺腫などで内視鏡切除(ESDなど)を行った後にできる胃潰瘍が修復された状態です。経過観察が必要です。病変の再発が疑われる場合には精密検査が必要になることもあります。
胃潰瘍
(いかいよう)
胃酸の影響を受けて胃の粘膜に欠損が生じた状態を潰瘍といい、潰瘍が完全に治癒し粘膜欠損が修復された状態を潰瘍瘢痕といいます。ピロリ菌の感染と非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が2大病因であるといわれています。また、ストレスも肉体的ストレス、精神的ストレスを問わず潰瘍の原因となります。胃角部に好発し、活動期(A1、A2)、治癒過程期(H1、H2)、瘢痕期(S1、S2)に分類され、活動期や治癒過程期には白苔がみられます。重篤な合併症として、出血や穿孔(胃に穴があく)などがあります。治療が必要です。ピロリ菌による胃潰瘍では、除菌治療により再発抑制が可能です。
胃潰瘍瘢痕
(いかいようはんこん)
胃潰瘍が治癒し粘膜欠損が修復された状態で、胃潰瘍の瘢痕期(S1,S2)に相当します。内視鏡的には白苔が消失し、典型像は一点に集中した放射状の形態がみられます。経過観察が必要な場合があります。
胃過形成性ポリープ
(いかけいせいせい)
消化管の内腔を覆う粘膜の一部が隆起したもので、正常粘膜が単に厚くなったものが過形成性ポリープです。通常大きさは2~3cmまでで、ほとんどのものは経過観察で問題ありませんが、大きなものからは稀に癌ができることがあり、精密検査が必要となります。また、貧血の原因となるような場合には内視鏡切除が必要になることもあります。ピロリ菌による胃の慢性炎症がその発生に関係していると考えられており、ピロリ菌除菌治療でポリープが小さくなることもあります。
胃カルチノイド腫瘍 カルチノイドは内分泌細胞に由来する腫瘍群で、消化管カルチノイドは直腸に次いで胃に多くみられます。胃腫瘍のうち0.4%がカルチノイドと報告されており、最近は検診などの内視鏡やX腺により無症状で発見されることもあります。通常1cm以下の小ポリープあるいは中央に小陥凹を有する隆起として認められます。精密検査,治療が必要です。
胃憩室
(いけいしつ)
管腔が一部洞穴状に陥凹したものとして認められます。内腔は正常粘膜に覆われています。放置してもよく、治療の必要はありません。
胃血管拡張(angiodysplasia)
(いけっかんかくちょう)
数ミリ大の円形の発赤として認められ、周囲に白暈を伴うこともあります。放置してもよく、治療の必要はありません。
萎縮性胃炎
(いしゅくせいいえん)
主にピロリ菌の感染によって引き起こされる胃炎を指します。進行すると内視鏡検査で粘膜下の血管が透けてみえるようになり、診断は容易となります。大部分の方は無症状ですが、軽度の消化不良または胃もたれや膨満感などの症状を呈することがあります。高度の萎縮性胃炎は胃癌発生リスクが高く、定期的な内視鏡検査が必要です。また、ピロリ菌除菌治療により胃癌発生リスクが低下することが期待されています。 稀に、ピロリ菌感染と無関係な自己免疫性胃炎(A型胃炎)のこともあります。
胃静脈瘤
(いじょうみゃくりゅう)
肝硬変などで、門脈圧亢進時に胃静脈の血流量が増加して、穹?部(胃の入口付近)に蛇行した表面平滑なやや珠々状の隆起性病変として認められます。経過観察または精密検査が必要です。
胃腺腫
(いせんしゅ)
胃壁から内腔に突出した限局性の隆起を胃ポリープといいますが、それらのうち胃粘膜上皮から発生した良性の腫瘍のことを胃腺腫といい、内視鏡では褪色調の扁平隆起として観察されることが多いようです。胃ポリープの癌化はきわめて少ないですが、胃腺腫は15年間の観察で約10%が癌化するという報告があります。癌との鑑別や癌化が問題となるので、内視鏡切除あるいは経過観察が必要です。
胃底腺ポリープ
(いていせん)
消化管の内腔を覆う粘膜の一部が隆起したもので、茎のない5㎜程度の半球状のものがほとんどです。周囲の粘膜と同じ色調をしており、しばしば数個以上みられます。ピロリ菌のいない胃に発生することが多く、癌化することもないので、経過観察は不要といわれています。
胃粘膜下腫瘍
(いねんまくかしゅよう)
胃の粘膜層よりも深い胃壁内(粘膜下層、筋層、漿膜下層など)に発生した病変を指し、病変が大きくなるにつれ、胃の内腔に突出し隆起を形成したり表面にくぼみや潰瘍を形成することがあります。胃粘膜下腫瘍の多くは腫瘍性ですが、非腫瘍性の疾患も含まれています。また、病変は良悪性いずれの場合もあります。経過観察または精密検査が必要です。
胃粘膜下腫瘍≧20mm
(いねんまくかしゅよう)
20mm以上の胃粘膜下腫瘍は精密検査が必要です。
胃MALTリンパ腫
(いまるとりんぱしゅ)
MALTリンパ腫(mucosa-associated lymphatic tissue lymphoma)は、リンパ節以外の臓器に発生するリンパ腫で、消化管では胃に最も多く発生し、胃悪性リンパ腫の40~50%を占めています。70~80%がピロリ菌の感染によって引き起こされ、ピロリ菌陽性のMALTリンパ腫はピロリ菌除菌治療で80~90%が改善します。精密検査,治療が必要です。
キサントーマ(黄色腫)
 
わずかに隆起する境界明瞭な白色から黄色調の病変です。星芒状から類縁形まで形はさまざまを呈します。ピロリ菌感染との関係があるとされています。キサントーマ自体は放置してもよく、治療の必要はありません。
急性胃粘膜病変(AGML)
(きゅうせいいねんまくびょうへん)
突発する上腹部症状を伴い、出血、びらん、潰瘍などの胃粘膜障害を認めるものです。原因として、精神的あるいは肉体的ストレス、外傷、手術、薬剤、アルコールなどの飲食物などが報告されています。男性に多く、若年層ではストレスによるものが多く、薬剤によるものは、基礎疾患を有する60歳代に多いといわれています。酸分泌抑制薬内服などの治療が必要です。
食物残渣あり(観察不能)
(しょくもつざんさあり)
食物残渣があり、観察が不十分な場合には、日を改めて再検査を行うなど、術者の判断に従って下さい。
進行胃癌
(しんこういがん)
胃の壁はその内側から粘膜・粘膜下層・筋層・漿膜下層・漿膜の5層構造になっています。胃癌は一番内側にある粘膜に発生した悪性腫瘍です。胃癌は粘膜から徐々に外側に向けて浸潤していきます。癌が筋層以上に深く浸潤したものを進行胃癌と呼びます。同じ胃がんであっても癌細胞の分化度(成熟度)に違いがあり、分化型胃癌と未分化型胃癌に大別されます。一般的には、分化度が低い未分化型胃癌のほうが悪性度は高いといえます。治療としては、外科切除や化学療法などが行われます。
スコープ挿入不能
(すこーぷそうにゅうふか)
様々な原因で、内視鏡が挿入できない場合があります。術者の判断に従って下さい。
早期胃癌
(そうきいがん)
胃壁の5層構造のうち、癌が粘膜もしくは粘膜下層までにとどまっているものを早期胃癌と呼んでいます。早期胃癌には特有の自覚症状がなく、ほとんどの場合無症状です。治療としては、内視鏡切除や外科切除が行われます。
その他の悪性腫瘍
 
胃癌以外の悪性腫瘍(約5%)として頻度が高いのは、悪性リンパ腫、平滑筋肉腫およびカルチノイドで、まれに転移性胃腫瘍があります。肺癌、乳癌、食道癌から転移する頻度が高く、胃壁内の粘膜下層に病巣を形成します。内視鏡では中心部が陥凹した粘膜下腫瘍様隆起としてみられます。精密検査,治療が必要です。
腸上皮化生
(ちょうじょうひかせい)
萎縮の進展に伴い胃粘膜が腸上皮類似の上皮に置き換わった状態です。内視鏡的に前庭部(胃の出口付近)中心に散在する灰白色の扁平隆起として認められます。胃癌(特に分化型胃癌)の発生母地と考えられ、内視鏡による経過観察が必要です。
鳥肌胃炎
(とりはだいえん)
胃粘膜に大きさが均一な結節状顆粒状の隆起が密集して認められ、あたかも皮膚にみられる鳥肌のように観察されることから名称されています。前庭部(胃の出口付近)で観察されることが多く、若年成人のピロリ菌感染者の特徴的な内視鏡所見であり、胃癌発生リスクが高いことが報告されています。ピロリ菌除菌治療により鳥肌胃炎は改善し、胃癌発生リスクも低下することが期待されています。
ひだ腫大型胃炎
(ひだしゅだいがたいえん)
ピロリ菌感染に起因する胃のひだの肥大を特徴とする胃炎で、ほとんど自覚症状はありません(萎縮性胃炎のない症例においても胃酸分泌の低下が認められます)。胃癌発生リスクが高く、特に胃体部の(未分化型)胃癌の発生母地として重要であることが報告されています。ピロリ菌除菌治療により、胃癌発生リスクが低下することが期待されています。
平坦型びらん性胃炎
(へいたんがたびらんせいいえん)
胃体部にも認められますが、前庭部(胃の出口付近)に多く認められます。数ミリ大の発赤を伴い、多発することが多いです。中央部は陥凹し、白苔を伴うこともあります。単発性で不整形の場合、癌との鑑別が必要です。経過観察または精密検査が必要です。
壁外性圧排所見
(へきがいせいあっぱいしょけん)
胃周囲臓器により胃壁外から圧排され変形することです。体部では、腸管拡張、肝臓・膵臓(嚢胞・腫瘍など)により圧排所見を認めることがあります。原因を調べる精密検査が必要です。
迷入膵
(めいにゅうすい)
粘膜下腫瘍の一つであり、前庭部(胃の出口付近)に認められることが多いです。粘膜下層中心に腺房細胞、ランゲルハンス島などの膵組織を認めます。中心陥凹を伴うことが多いです。放置してもよく、治療の必要はありません。
幽門狭窄
(ゆうもんきょうさく)
胃癌や胃十二指腸潰瘍、膵臓や大腸などの大きな腫瘍による外部からの圧排、胃の運動機能の異常(精神的、過度の飲酒、薬、外傷など)などにより、胃の出口(幽門)が狭くなった状態です。原因を調べる精密検査が必要です。
隆起型びらん性胃炎
(りゅうきがたびらんせいいえん)
以前には、いわゆる‘たこ疣びらん’と言われていたもので、ポリープ状、棍棒状、数珠状などの形態を取ることがあり、ほとんどは多発しますが、単発のこともあります。さらに白色陥凹を中心部に伴うことが多いです。前庭部(胃の出口付近)に多いですが、体部にも認められます。単発性で不整形の場合、癌との鑑別が必要です。ピロリ菌未感染者にみられることが多いですが、感染者にみられることもあります。

 

■ 十二指腸
悪性リンパ腫
(あくせいりんぱしゅ)
悪性リンパ腫は、ヒトの免疫に関係するリンパ組織から発生する腫瘍です。消化管悪性リンパ腫のうち、十二指腸病変は5~16%とされています。濾胞性リンパ腫、T細胞リンパ腫、MALTリンパ腫の順に多く、精密検査及び治療が必要です。
異所性胃粘膜・胃上皮化生
(いしょせいいねんまく・いじょうひかせい)
十二指腸に胃の粘膜がみられる状態です。異所性胃粘膜は球部にみられる丈の低い隆起性病変で、先天性病変です。胃上皮化生は、炎症や潰瘍などで、生体防御的に発生したものです。いずれも病的な意義は少なく、放置しても差し支えありません。
近傍臓器の悪性腫瘍の浸潤
(きんぼうぞうきのあくせいしゅようのしんじゅん)
膵臓、胃、胆嚢、総胆管などの近接臓器の癌が、直接浸潤することがあります。精密検査及び治療が必要です。
十二指腸炎・びらん
(じゅうにしちょうえん・びらん)
十二指腸に炎症がおこった状態です。原因不明の非特異性十二指腸炎と、アルコール、香辛料、薬剤、放射線、細菌・ウイルス感染症、全身疾患、ストレスなどが原因の特異性十二指腸炎があります。炎症が軽度の場合は放置しても差し支えありませんが、炎症がひどい場合は経過観察や内服治療が必要です。
十二指腸潰瘍
(じゅうにしちょうかいよう)
十二指腸の粘膜に欠損が生じた状態です。原因は主にピロリ菌感染であり、その他に非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)などがあります。球部に好発し、活動期(A1、A2)、治癒過程期(H1、H2)、瘢痕期(S1、S2)に分類されます。重篤な合併症として、出血、穿孔、穿通、狭窄があります。治療が必要です。ピロリ菌除菌治療により、潰瘍の再発はほとんどなくなります。
十二指腸潰瘍瘢痕
(じゅうにしちょうかいようはんこん)
十二指腸潰瘍が治癒した状態です。放置しても差し支えありませんが、経過観察が必要になることもあります。
十二指腸カルチノイド
(じゅうにしちょう)
カルチノイドは内分泌細胞に由来する腫瘍です。消化管におけるカルチノイドの発生頻度は、直腸、胃に次いで十二指腸が3番目に多くなっています。健常粘膜に覆われた隆起として検出され、中央に陥凹や潰瘍を有するものもあります。精密検査及び治療が必要です。
十二指腸癌・乳頭部癌
(じゅうにしちょうがん・にゅうとうぶがん)
十二指腸腺腫・癌は非常にまれな疾患です。内視鏡的には易出血性、絨毛の白色化が病変の発見に有用とされています。乳頭部に発生すると閉塞性黄疸を伴うこともあります。腺腫と癌の鑑別も困難です。近年増加傾向にあるので可能な限り十二指腸下行脚まで観察するのが有用と思われます。
十二指腸狭窄
(じゅうにしちょうきょうさく)
十二指腸潰瘍、癌(胃癌、膵臓癌など)、膵炎などが原因となります。先天性十二指腸狭窄症も成人発症例があります。原因を調べる精密検査が必要です。
十二指腸憩室
(じゅうにしちょうけいしつ)
十二指腸壁の一部が、外側に突出して、へこんだ状態です。下行部、十二指腸乳頭近傍に多くみられます(傍乳頭憩室)。放置しても差し支えない変化ですが、傍乳頭憩室では、胆石や膵炎を合併することがあります。また、まれに急性憩室炎を起こして、治療が必要になることもあります。
十二指腸腺腫・乳頭部腺腫
(じゅうにしちょうせんしゅ・にゅうとうぶせんんしゅ)
前癌病変で、内視鏡的には癌との鑑別が困難です。
十二指腸ポリープ
 
Brunner腺腫が最も高頻度であり、脂肪腫、平滑筋腫、リンパ濾胞などがあります。ほとんどの場合、経過観察でよいのですが、ポリープが大きい場合など、精密検査や治療が必要になることもあります。
スコープ挿入不能
 
様々な原因で、内視鏡が挿入できない場合があります。術者の判断に従って下さい。
粘膜下腫瘍
(ねんまくかしゅよう)
十二指腸の壁内に発生した腫瘍です。消化管間質腫瘍(GIST、gastrointestinal stromal tumor)、平滑筋腫、平滑筋肉腫、神経鞘腫、神経線維腫、脂肪腫、迷入膵などがあり、十二指腸下行部に多く発生します。20㎜以上のものは要精査、20㎜未満のものは経過観察とします。
粘膜下腫瘍 ≧20mm 20㎜以上の粘膜下腫瘍は、精密検査が必要です。
Brunner 腺腫・過形成
(ぶるんねるせんしゅ・かけいせい)
十二指腸球部に好発する隆起で、粘膜下腫瘍の形態をとることが多く、稀に癌化することがあります。Brunner腺過形成は、異型のないBrunner腺が増殖したものです。経過観察または精密検査が必要です。
壁外性圧排
(へきがいせいあっぱい)
胆嚢病変、膵臓病変等で、外側から十二指腸壁が圧排された状態です。圧排の原因究明が必要です。圧排の原因によって、経過観察または精密検査が必要です。